月世界治安維持管理局

メンタルの治安守っていこ

王子動物園

先月終わりに兵庫県にございます、王子動物園に伺いました。

特に行く予定があったわけではなく、早朝から神戸を彷徨いどこに行こうと思案していたところ、三宮から歩いて40分ほどで王子まで行ける。そして動物園がある。ということで見学をしてみようと立ち寄りました。

 

プロローグ

朝7時ごろからホテルチェックインもできず街中をうろつき、9時開園のためしばらく付近を散策しておりました。あのエリアには学校が多く、元気な子供たちの姿、小テストがあるのか授業のノートを読み返しながら歩く姿、お友達とのおしゃべりを楽しむ姿など明るく輝かしいものを見た心地です。

 

本編

開園すぐ入場し、いざ見学。

私は門向かって右側から反時計回りに見て回りました。

 

まず出会ったのは鳥類。インコやオウムがおりました。

色鮮やかで大きい。南国の熱帯林ではこの色味の方が安心、効率的なのは不思議で面白いですね。木の実に擬態できる色合いなのでしょうか?

鮮やかな赤、黄色、黄緑、青色とまるで絵の具で塗ったような極彩色

それから、彼らは鳴き声も大きめですね。ちょっと怖かったです。いつ鳴くかヒヤヒヤしていました。唐突に大きい音がするとびっくりするのはどの生き物も共通のことかと。

ペンチのような役割を持った大きなくちばしが印象的でした。人間は大きな翼も鮮やかな色も固く強い嘴も持っていませんので鳥さんはすごいなぁと思いました。

 

熱帯の極彩鳥の横には渡鳥、保護された鳥さんがおりました。彼らの色味は割とシンプルで白、黒、グレーのものが多かったですね。

 

ネコ科の仲間たち

鳥さんコーナーの真正面にはライオンがおりました。

その日も朝から十分に日が照っており、暑かったためでしょうか。大きめの猫さんもといレディ・ライオンさんは日陰でどっしりと横になっていらっしゃいました。

彼らは本来早朝と夕方の涼しい時間に狩りを行い生きているのでこの時間にそうしているのはごく自然なことでしょう。

一つ疑問はこの狭い展示場の中では万全に狩りの動きをすることはできないでしょうから野生の動きや感性を思い出すことはあるのでしょうか。仮にそれはなくとも本人が幸せなら良いかな、とは思いました。大きめの猫さんとして生きるのもまた一つの幸福かもしれません。

 

次に進むとヒョウさんが1頭・ジャガーさんが2頭いらっしゃいました。

ライオンさんに比べると彼らはだいぶ活動的でしたね。元気いっぱい展示場の中を歩き回っていらっしゃいました。動いているのを見るとしみじみと思いますが、やっぱり大きめの猫さんですね。猫パンチ的な動きや高いところに登りたがる動きなどは特に。

ですが「猫さんぽくない」と驚いた行動が一つ。

軽く池のように水が溜めてあるところが場内にあったのですが、そこで黒いジャガーさんの一頭が水遊びをしてらしたのです。池で浮かんだり沈んだりする木の板にじゃれつき非常に楽しげでした。

あの子の性格なのか、種としての本能なのか。ともあれ楽しそうな様子で素敵でした

 

イチオシ。象

私が最も衝撃を受けたのは次のコーナーへ足をすすめた時。

角を曲がると、象さんがいらっしゃいました。

マップで事前にわかってはいたのです。ですが、本物を目にしたときに衝撃を受けたのです。

「でかい。勝てない」

個人的に勝とうとしているのではありません。

人類はなぜこの生き物に勝てる、倒せるようになってしまったのでしょう。これが大脳と群れの力か。と思うと同時にあまりに不遜……とも思いました。

こんなにも、恐ろしいまでに大きい生き物。この大きさで地上を歩くもの。美しいけれど怖かったです。

固くゴワゴワして、大きな体を守る皮膚

牙と書くけどツノみたい、歪なまでに長く硬質な象牙

骨格標本を見ると本当に軟骨なのにとても器用に自由に動く長い鼻

体の重さの単位がtなのにも納得の存在感、質量感でした。

恐ろしかったけれど、なんだか哀と愛のこもった目をしていらっしゃいました。目の周りの皮膚のせいでしょうか。

それとも、かの生き物に比べれば人間など矮小と思う私の気持ちがそう見せたのでしょうか。

 

資料館

象さんの展示を後にし、資料館?学習館のようなところへたどり着きました。建物の前にはなぜか兵馬俑がありましたが、理由を探究するのを忘れていました。

「なんで兵馬俑?!」とはしゃぐだけはしゃぎ、ペンギンプール併設の資料館へいざ。

 

こちらのペンギンさんたちはファンサが厚いですね。人間慣れしているのか、好奇心が旺盛なのか。じっと見ていると近くを泳いでくれたほか、通過するのでなく目の前で止まってくれたりもしました。

 

資料館の入り口の壁には大きな木製パズルがございました。

世界地図を模したもので、よく見ると「その地域に住む動物」の形の積み木のようなブロックが集まって一つの大陸の形を表していました。

日本人なのに日本が何の動物であったか完全に忘れましたが、ブリテン島はリスや小鳥だったのを覚えています。島国ですし、緯度が北海道と同じくらいなので確かにふわふわの小動物だよな。と妙に納得しました。

 

館内に進むとまず推してくるのがゴリラです。王子動物園かつての主役。ゴリラ。

最近はゴリラにお会いできる動物園が少なく寂しい気持ちの広報係です。

ロボット人形のシルバーバックと子ゴリラがお出迎えしてくださいました。父子ですね。

植物の生い茂る地域に暮らし、日々移動して生活しているようです。キャラヴァンのようですね。もしくは遊牧民。(牧畜はしないのでこの表現は違う気もしますが)

彼らの住まう地域は年々減少しているほか、今ではもう姿を見ることができない森が大半だとか。住まいを追われ生きていけなくなることはどれだけ辛いことでしょう。身軽に心地よい環境を求め渡ることも自由ですが、心地よいと感じるところに定住する・そこでのみ生きていくのもまた自由なのです。どちらが良いなどと部外者が口を出してはならぬのです

彼らが自由に生きる森を取り戻すことが正義か、営みの流れの中で淘汰されていくのを受け入れるのが正義か。どっちを選ぶとしてもそれはあくまで人間の選択なので、不遜かは個人の判断にお任せしましょう。

この話は掘り下げると別枠の話になるのでまた今度

 

ゴリラの森の次はサバンナです。机上に模型が広がっておりました。

音声案内が付いていたのでボタンを押し、案内を聞いてみました。

人間からすれば、にはなりますが、決して糧が潤沢で過ごしやすいとは言えない厳しいまでに変化の激しい広大な地域には多種の生き物が住んでいます。

短めの植物。背の高めの細い木。小型の虫。大きめの草食獣。それを食らう肉食獣。

全て循環しているすごいシステムが俯瞰してわかりやすい地域。

厳しい環境に生きるものは不思議と体が大きいですよね。大きくなれば心拍数が少なくなって寿命が長い傾向になりますし、体が大きい分その生命を維持するためにより多くの糧が必要になることでしょうに。それでも大きい方が都合がいいのは不思議ですね。

この展示の中で印象的だったフレーズが

草食動物の話の中で、食べる植物の種類が違う(位置が違う)ので「争いは起きない」というもの。生き物の本質として「食う・食われる」はあれど争うことはないのです。

流石に補足として同種間では争いが発生しますが、自然界の合理性においては争いなんてないのかと思うと何か感慨深かったりします。

 

次の展示は冬の山の生き物たちでした。

木の根元に穴を掘り冬眠する熊、土の中で春を待つ蛇や蛙。木の中に住まう鳥や栗鼠。割と雪の上でも元気に生きるたぬき。虫類は卵でした。

人間は火を起こして文明を発展させたからちょっと忘れますが生き物にとって冬とは厳しく過ぎ去るのを待つもの……なので冬場お仕事に勤しむみなさんはとても頑張っていて偉いのです。

 

その後草食・肉食・雑食動物の頭蓋骨格の比較や鳥の嘴の機能比較など。

硬いものはそのままの形が残って良いですね。タンパク質は分解されちゃうので……

各動物のフンや食事内容の展示もございました。

 

群れの内容紹介も面白かったです。

アシカは一頭の雄に対して周りは雌と子供たちで構成されるハーレムと呼ばれる群れを構成し

ライオンは雌多めで子供たちと雄が少しで構成されるプライドを形成

ハイエナはクランと呼ばれる群れを作り

他にもペンギン、シマウマ、渡鳥など……

他種から一見するとわかりにくいですが、その群れには明確なルールがあり合理性に基づいてそれは脈々と続いている。自然界すごい。

 

キリンやゾウ、ライオン、ハイエナ、イルカなどの骨格標本もございました。海獣の標本を見るたび軟骨ってそんな感じなんだ……と思います。骨と肉でできた水かきとも一線を画する大きな水かきシステムこそパドルやフィンといったところですね!だからこそあの大きさにもなるのでしょう。大きな水生哺乳類には感服いたしますね。ナニ目線なんでしょう…

 

資料館最後にございましたのが剥製です。

かつて生きていたものの綺麗なミイラ。という認識で見ています。

かつてその瞳でこの世界を見たことがあるのですね、と思ったらなんだか怖くて涙が出てきました。なぜ。

形あるものに魂が宿るとは言いますが、この場合彼らの魂はどこにいくのでしょう。もし、ここに魂が宿っていたとしたらそれはいったい誰の魂なのでしょう。

だから少し、いや、かなり怖かったのだと思います。

そもそも私生き物怖いですし。人間の矮小さに気づくので。映画ナイトミュージアムとかちょっと怖いです。

 

自然に対する畏怖を刻み込んだなぁといった資料館でした。

 

カバ、カンガルー、アシカ、キリン

申し訳ないことに寸前の資料館の印象が強すぎて彼らの印象が薄いです。

カバ、でっか!

アメリカで最も人を襲っているのはカバだと昔何かで読みました。そんなにナチュラルにカバいるんですか?気性は激しくなさそうですが、彼らにとってのほんの一撃は人間にとっての致命傷になり得るのも当然だな、と思うサイズ感と質量感でした。

赤い汗をかくことで有名。そしてカバの上によく小鳥がおりますがアレ意外と共生ではなくカバ側は皮膚を啄まれ怪我しているらしいです。

共生に見える利害関係、依存にも見える共生、食う食われるに見える依存。関係性はさまざまですね。

 

カンガルーさんは木陰でみなさんゆっくりしていらっしゃいましたが一頭だけやたら元気に駆け回っていらっしゃいました。お若いのですね。

カンガルーというお名前は、昔々英国の方が現地の方に「あれはなんて生き物?」と尋ねたときに「カンガルー」とおっしゃられたそうな。

英国の方は「カンガルーという名前の生き物なのだね」とされましたが

「カンガルー」はお名前でなく「わかんない」という意味の返答でございました。

異言語間でのすれ違いが現代まで残ったものがこのお名前です。

ちなみにこちらのお話は俗説だそうで。

私はこの話アホっぽくてすごく好きなのですが、謂れのない誤解は解けた方が良いですものね

部族によって呼び方違うけどある一つの部族が「カンガルー(大体)」と呼んでいて、今では全体的にカンガルーと呼ぶようになったとかなんとか。

 

アシカさん方はなんとなーく泳いでいるのを上から眺めたのみ…すみません……海獣は水族館かなと。

 

キリンさんはお食事してらっしゃるところを間近で見せていただきました。

まつ毛なっが。

生き物として大きいので当然ですが顔もでっか。

もしゃもしゃと木の葉を召し上がっていらっしゃいました。

 

もしかしなくても猿ちょっと怖い。

近くて遠いものほど怖いと思うのですがいかがでしょう?似ているのに話通じないんですよ。もし外部惑星からお客様がいらっしゃったときお話が可能なら怖くはないかもしれません。でも倫理観が圧倒的に違う可能性はなきにしもあらずなので相互理解が重要になってきますね。

話がそれました。

猿の惑星は怖くて見れないけどアバターは見れるのですがそれも一因でしょうか。ミニオンもちょっと怖いです。

スターウォーズはお恥ずかしながら未視聴のため見てみようかと思います。メカメカしいので見れる気がします。

大きめのお猿さんはゆったりと余裕のある動きをなさいますね。体の重量感も一因でしょうか。反対に小さめのお猿さんは展示場の中を縦横無尽に動き回っていらっしゃいました。小さな体躯を目一杯使って体長の倍ある距離を飛べるのはすごい力と機能だなと。

小猿さんの一頭が鬼気迫る勢いでケージの、鍵のあるあたりを一心不乱に叩いていらしてだいぶ怖かったです。そこが開くことを知っている動きですよねそれ。他の動物さんも開くところはご存じなのかもしれませんが扉にそこまでのアプローチをしていたのは彼だけだったのでちょっと怖かったです。

オランウータンやマントヒヒなど大きめのお猿さんはあまり動かれず、じっとしていらっしゃることが多かったのですがそれはそれで普通に体躯に恐れをなしました。

その気になれば膂力などは彼らの方が圧倒的に強いです。そして互いの言葉がわからない分容赦がないです。ためらいが生まれないので。異種族間で争うことの不毛さはここにあるかもしれません。単にステータスだけでの勝負になりかねないので。何も産みませんし。

 

その他

その他とざっくりまとめさせていただきました

コアラさんの展示場はなんだか穏やかな空気が流れていましたね。コアなコアラファンであろう方々も何人か見られましたし。

ふわふわでぬいぐるみっぽいビジュアルで愛らしかったです。

 

徐々に記憶も薄まる中、やっぱり猿と象の印象は強いまま。

それだけでかなり「いいものを見た」と思えます。

 

動物園が、種の保存および研究機関であることを考えると入場料安すぎでは?と思うほど。外来者たる私ですら請求されるのは六百円ほど。地域住民、学生さんはもっとリーズナブルに見学できることでしょう。

 

お近くに動物園、植物園、水族館などがある方は大事になさって

そしてできるだけ足しげく通っていただけるときっと世界は美しくあってくれますわ。

 

今回はここまで。